ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合

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ネットメディアと連携した記事配信を行いました/平成31年3月20日

自治体連合や参加自治体の活動をより分かりやすく伝えるため、ネットメディアであるYahoo!ニュースと連携し、参加自治体の首長等によるふるさと納税の取組みに関するリレーインタビュー等を実施し、全国に配信します。第2段として、共同代表である長崎県平戸市長のインタビューを行いました。

 

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テーマ 「”ウェブショッピング”ならふるさと納税の趣旨ではない 元日本一の平戸市・黒田市長」

概 要 (1)誘致企業もない海に囲まれた過疎の街

       平戸市は九州本土の西北橋に位置する人口約3万4000人、平戸島とその周辺の        

      大小約40の島々から構成される海に囲まれた過疎の街。

    (2)ふるさと納税ありきで政策を進めていない

       平戸市の寄付額は2010(平成22)年度から2012年度まで年間100万円で推移してい

      たが、2013(平成25)年度に3910万円、2014年度には急増し、14億6258万円を記録

      し、寄付額日本一となった。

       さらに2015年度には25億9967万円と同市として過去最高を達成。

       しかし、返礼品競争が熱を帯び始め、寄付する先の「選択肢」が増えると、平戸市の

      寄付額は減少。

       2016年度には16億5284万円、2017年度には10億7370万円まで落ち込んだ。

       しかし黒田市長は悲観的にはみてない。

       「いろんな自治体に寄付をしてきた納税者が定まっていくことで、その土地に合った

      魅力、その土地が醸し出せる、引きつける価値の数字が落ち着いてくるということ」

       財政は永続性が大事だと強調。

       「制度や使い道は、いったん走り出すと常態化して安定期を求めるので、小額化して

      いくと不安にもなる。しかし、もともとふるさと納税ありきで政策を進めてきているわ

      けではない」

       市の予算に占めるふるさと納税の割合は、2019(平成31)年度ベースで、予算総額277 

      億円のうち、歳入の3.6%、歳出の充当財源では6.7%。

       ふるさと納税の使いみちとしては、高齢者の足としてのコミュニティバスを運行させ

      るなどの交通政策や、保育料の軽減などの子育て・教育政策、特産品をつくる担い手を

      サポートする農林水産業政策などに活用。

    (3)これまでは人口を増やすしか安定税収がなかった

       黒田市長は「ふるさと納税という言葉は認知度が高まってきた。ただこれは、あくま

      で寄付行為に対する税控除という、寄付文化を育てるという制度」と説明。

       お金の流れには3パターンがある。

       1つは「公共経済」で、いわゆる財政。

       2つ目は「市場経済」で、民間企業を中心としたお金と価値・モノを交換するもの。

       3つ目が「寄付経済」で、結婚式のお祝いや葬式のお香典のような見返りを求めない   

      行為。

       「日本社会の中では、常に市場経済が大きかったので、寄付文化には『そんなことし

      て儲かるの?得するの?』という見方がある。それでも、われわれにはお世話になった

      人への恩返しというような気持がある。その1つの表れが、ふるさと納税という形に

      なっている」

       人口減少に苛まれる地方自治体にとって、財源不足は死活問題。

       黒田市長は日本の税制を踏まえ、ふるさと納税の意義を評価。

       『これまで、いわゆる税の再分配機能は、全国から集めたお金を財務省なり総務省

      が、地方に交付金、交付税として循環させるシステムしかなかった。地方自治体が、自

      らの税収を健全で安定的なものとして得るには、固定資産税や軽自動車税などしかな

      い。人口を増やして宅地造成し、あるいは工場を誘致して雇用を増やす。つまり、人口   

      を増やしていくことでしか、安定した財源を保障できないシステムだった』

       都市部の自治体の中には、税収が地方に『流出』しているとして、ふるさと納税に批   

      判的な声もあるが、『都市と地方と信頼の中で、その1人の納税者を、地域で育んで、

      あるいは育て合うという気持ちになっていくといい』と理解を求めた。

    (4)そのふるさとにしかない価値・モノを乗せる 

       返礼品をめぐっては、総務省が規制に乗り出し、『調達価格が寄付額の3割以下の地

      場産品』に限るとの方針を打ち出す事態となっている。

       2017年に発足した『ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合』の共同代表の一

      人でもある黒田市長は、こうした過当ともいえる競争について苦言を呈する。

       『ふるさと納税の認知度は高まっているが、基礎自治体が財源を稼ぐために、その地

      域に関するものや、いろいろなものを『お得に購入できるよ』いうふうになっている。

      これちょっと違うと思う。だから、そういった意味での是正が今なされつつある。国に

      おいてもそうだし、われわれ地方自治体もそういう認識を共有しなければならない』

       「本来なら、そのふるさとにしかない価値、モノをそこに乗せて絆をつくるのが、こ

      の制度の趣旨。寄付をして、一方で税還付でお金が戻ってきて、それでもって、ウェブ

     ショッピングみたいなことをやっているのであれば、それはふるさと納税の趣旨ではな

     い」

       「ふるさと納税は、ふるさとの魅力を納税者に理解してもらって、そこで賛同を得な

     がら絆をつなぎとめるという作業がなければならない。それをモノで取り引きするのは市

     場経済であり、公共経済がそういう流れに依存してはいけない。残念に思う」

       「財源が潤ったとしても『将来はどうするんだ』と。それを『稼いだもの勝ち』    

     『今だけ儲かっておけばいい』という概念では、長続きしない」

      返礼品問題については、ある時期からいくら稼いだかがランキング化されるようにり、

     それはメディアがあおった部分もあるとも指摘。

   (5)地元産品の発掘と創意工夫を生む仕組み

      平戸市は、かつて全国1位になったときも含め、一貫して地元の産品にこだわってお

     り、今後もこうした返礼品競争に与するつもりはない。

      過度な返礼品に頼らずに済んできキーワードは「産直市場」。

      「『もともと平戸は食べるものがたくさんあるじゃないか』と言われるが、全国制覇で

      きるような産品はない。私は『少量多品種』『季節限定』と言っているが、通年・年間

      を通して出せるような量も生産できない。だから兼業農家、零細漁業という形でしか地

      域を支えることができなかった。それを可能にしたのは、いわゆる地元にある『産直市

      場』。ここに”平戸”を全部集めようという物産戦略だ」

       産直市場は、市内に『ひらど新鮮市場』と『平戸瀬戸市場』の2つあり、もともと

      あった物産協会という団体にできた。

       いずれも直送の平戸産品を販売していて、他地域からの産品を仕入れるこはない。

       地元の魅力を再発掘する仕組みの一つが『産直市場』。

       そのためには自治体だけではなく、生産者側の努力も不可欠。

       協力なブランド産品がないために、付加価値をつけるための知恵と工夫が必要。

       新たな価値を生むための競争を促すもう一つの仕組みが『カタログ』。

       売れない品物はふるさと納税のカタログから外し、随時入れ替える。

       『そうすると、生産者、現場に競争が始まる。『ふるさと納税のカタログに載りたい   

      よね』と。そして『次は載るぞ』と知恵と工夫が生まれる。それが地域の元気につなが 

      る。要するに、まさに平戸市のカタログという舞台に1つの目標を定めて、これに載る

      ために今、生産者が頑張っている』

      生産者の創意工夫の一つとして、タコの事例を紹介。

       『以前はタコの生産者は魚市場に持っていくだけだった。ところが市場では、タコの

      足が8本それおっていないと生鮮食品としては売れない。でも、手前で加工をして足を

      きれいにスライスしてバジル味やガーリック味、スモーク味をつけて真空パックにした

      ら、それは商品だ。そうなっていくと、その加工工場をつくり、中小企業振興条例に基

      づく設備投資ができる。そうするとお金が回っていく。平戸市は今、ふるさと納税だけ

      ではなく、税収が上がっている。それはふるさとの活性化につながる』

      平戸市では市外からの移住者も増えている。Uターン・Iターン含め、昨年は96人で、長

      崎県内でベスト4。

      地方にはまだ”宝”が眠っていると黒田市長は考える。

      『われわれにとって田舎暮らしは自然との闘いであり共存。時代的に限界集落や地方が

      消滅するという言葉があるが、その危機感、シグナルから逆に地方に目を向ける人が来

      て、今そういう田舎の『宝探し』『再発見』に協力してくれているのかなと思う」

 

Activity Report

ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合では、
ふるさと納税の理念を再認識し、自治体同士が学びあい、その意義を広く国民に伝え、
ふるさと納税の利用者の視野を広げるための活動を展開しています。